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スカーレット オーク
第56章 56 朝食
「美味しい」
「よかった。そうだ、水着持ってきた?」

――あの水着か……。

「ええ。一応。海にでも行くんですか?」

 どうやら泳ぎに連れて行ってくれるらしい。

「お盆って泳ぐと海に引きずられてしまうんじゃないですか?」

 眉をひそめる緋紗に、「海じゃないから大丈夫だよ。その話ってクラゲ避けのための迷信じゃないの?」と、直樹は笑う。

「えー。霊ですよ」
「わかったよ。海はいかないね」

 緋紗は少しほっとしてコーヒーを飲んだ。


 一緒に軽く片付けてのんびり話をする。
抱き合う時間ももちろん大事だがゆっくりと話せるこの時間が緋紗にはとても愛しかった。
好きな本、ゲーム、音楽、映画色々。同じものが好きだとこんなに楽しいのかと思うくらい盛り上がった。

今まで色々な人との出会いで世界が広がったことがあったが、直樹といると世界が深まる気がする。
緋紗は身体だけじゃなく心も一つになりたいと願い、そして直樹さんが好きとこっそり心の中でつぶやいた。
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