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スカーレット オーク
第1章 1 オペラ『カルメン』
チケットを渡し受付嬢からプログラムを受け取る。
華やかな受付嬢に緋紗は緊張し行儀よく頭を下げ、自分の席を見つけて座った時には、やっとほっとした。
ドレスコードに自信がないので会場の雰囲気や周囲の人々に目を向けずプログラムを眺める。
オペラは好きだが詳しくはないので出演者を見てもどれだけ有名なのかわからないが会場の熱気からすると人気の歌劇団なのだろう。
――ファムファタルか。
緋紗は陶芸が人生の中心であるため恋愛内容には関心がもてない。
とくにホセのカルメンに対する濃厚な気持ちには理解ができなかった。
ただしカルメンの好きなことをやり続けるスタイルには多少、共感する。
「まあカルメンみたいに男うけすることはないけどね」
一言呟いたとき、
「すみません」
落ち着いた声と深い森林の香りがした。
隣の席に座りたいのだろう。
男が緋紗の組んだ足を下げてほしいようだ。
「あっ。スミマセン」
慌てて組んだ足をおろす。
座った安堵ですっかり周りが見えなくなっていたみたいだ。
「いえ」
しっとりした柔らかい声に緋紗の安堵感が少し戻った。
気を取り直してプログラムに目を通し始めると会場にアナウンスが響き照明が落されてくる。
幕が開け前奏が流れてきた。
華やかな受付嬢に緋紗は緊張し行儀よく頭を下げ、自分の席を見つけて座った時には、やっとほっとした。
ドレスコードに自信がないので会場の雰囲気や周囲の人々に目を向けずプログラムを眺める。
オペラは好きだが詳しくはないので出演者を見てもどれだけ有名なのかわからないが会場の熱気からすると人気の歌劇団なのだろう。
――ファムファタルか。
緋紗は陶芸が人生の中心であるため恋愛内容には関心がもてない。
とくにホセのカルメンに対する濃厚な気持ちには理解ができなかった。
ただしカルメンの好きなことをやり続けるスタイルには多少、共感する。
「まあカルメンみたいに男うけすることはないけどね」
一言呟いたとき、
「すみません」
落ち着いた声と深い森林の香りがした。
隣の席に座りたいのだろう。
男が緋紗の組んだ足を下げてほしいようだ。
「あっ。スミマセン」
慌てて組んだ足をおろす。
座った安堵ですっかり周りが見えなくなっていたみたいだ。
「いえ」
しっとりした柔らかい声に緋紗の安堵感が少し戻った。
気を取り直してプログラムに目を通し始めると会場にアナウンスが響き照明が落されてくる。
幕が開け前奏が流れてきた。