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スカーレット オーク
第11章 11 デート
 緋紗はベッドを降りトートバッグに入れて持ってきた服を取り出して素早く着る。

「支度が早いね」
「まあ、そうですね」
「モーニングサービスがあったから頼んでおいたよ」
「あ、ありがとうございます」
「まだゆっくりできる?」

 時間を見ると七時だ。

「ええ。大友さんはもう帰るんですか?」

 大友はソファーで横たわったまま近づいて聞く緋紗の手を引っ張り、自分の身体の上に乗せ「まだ帰りたくないな」ぽつりと言い恋人の様に抱きしめた。
今朝はまだ香水をつけていないのか、彼から木のような香りがしない。
昨日二人で使ったソープの柑橘系の甘酸っぱい香りがする。
お揃いの香りを楽しんでいるとどこからかガタっと音がした。
備え付けられたボックスに朝食が届いたらしい。
人に会わなくて済むことに緋紗は感心した。

「また午後には帰るんだけどそれまで一緒にいられる?」
「あの。また嫌じゃなかったら美術館行きませんか?」
「この前の?」
「いえ。今度はまた別の美術館で『古代ギリシャ展』をやってるんです」
「そうなんだ。いいよ。ギリシャは好きだから」
 ――よかった。全く岡山らしくないけど……。
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