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スカーレット オーク
第16章 16 静岡へ
電話をしてから三日くらいで新幹線のチケットが送られ、『普段着で来てください』と硬質な字で書かれたメモが同封されていた。
バイトということなのでジーンズとトレーナーをメインにバッグに詰め出発の日を待った。
帰省ラッシュで岡山駅はごった返し、新幹線の自由席は廊下にも立っている客でいっぱいだ。しかしチケットは指定席で、落ち着いて座ることが出来る緋紗は直樹の気配りに感謝した。――ああ、そうだ。電話しなきゃ。
あれからお互いに電話はしていない。
二度目の電話だが緊張しながら名前を見る。――大友直樹
何か音楽が少し流れてつながる。
『はい。おはよう。ひさ?』
『そうです。おはようございます。今、岡山出発しました。なので十一時四十分にそちらの駅に到着すると思います』
『うん。迎えに行くから北口の一般乗降場というところにいてくれる?改札を通ってすぐだからわかると思うけど迷ったら電話して』
『わかりました。じゃまたあとで』
『あとでね』
ドキドキして電話を切った。
電話の直樹の声は実際のそれより硬質な感じで事務的であり、それがまた緋紗にはセクシーに感じる。
窓から景色を見ようとしたが、直樹に会うことに気持ちが集中し始めると何も見る気がしなくなったので、目を閉じて体力の温存に努めた。
バイトということなのでジーンズとトレーナーをメインにバッグに詰め出発の日を待った。
帰省ラッシュで岡山駅はごった返し、新幹線の自由席は廊下にも立っている客でいっぱいだ。しかしチケットは指定席で、落ち着いて座ることが出来る緋紗は直樹の気配りに感謝した。――ああ、そうだ。電話しなきゃ。
あれからお互いに電話はしていない。
二度目の電話だが緊張しながら名前を見る。――大友直樹
何か音楽が少し流れてつながる。
『はい。おはよう。ひさ?』
『そうです。おはようございます。今、岡山出発しました。なので十一時四十分にそちらの駅に到着すると思います』
『うん。迎えに行くから北口の一般乗降場というところにいてくれる?改札を通ってすぐだからわかると思うけど迷ったら電話して』
『わかりました。じゃまたあとで』
『あとでね』
ドキドキして電話を切った。
電話の直樹の声は実際のそれより硬質な感じで事務的であり、それがまた緋紗にはセクシーに感じる。
窓から景色を見ようとしたが、直樹に会うことに気持ちが集中し始めると何も見る気がしなくなったので、目を閉じて体力の温存に努めた。