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わたしは桜になりたい
第1章 わたしは桜になりたい
「お前は違うだろーが」
違う……?
わたし……?
「お前が死んだら、誰かが気付くだろ?」
「親でも兄弟でも、子供でも、誰でもいい。親友じゃない知り合い程度の人間だって、お前が死んだら気付くだろ?」
「根暗なお前でもひとりくらいいるだろ?」
「お前は確かに嘘つきだ。桜みたいに自分で自分を騙してやがる。でもそうでもしないと、お前は生きていけなかったんだろうが」
「お前が嘘付いて、誰かを騙してまで、それでも愛されたいってもがいたんなら……ひとりくらい、いるはずなんだ」
何が?
誰が?……いるの?
「お前が死んだとき、悲しんでくれるやつ」
「お前が笑ったとき、喜ぶやつ」
「百の人間に嫌われようが、たったひとりにでも、愛されたいと思ったんだろう?」
「自分で自分を傷付けてまで」
「お前は……そういう道を、選んだ」