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わたしは桜になりたい
第1章 わたしは桜になりたい
「何故──桜が
美しいのか知ってるか」
何故
「花びらの色が、甘ったるいピンクなのか」
「葉が芽吹くより先に、花だけが狂ったように咲き乱れるのか」
知らない
「何故……花が咲くタイミングが、しめし合わせたようにどの木も同じなのか」
「………なぁ、知ってんのかよ?」
知らない
だって桜は、どれもこれもそういうもの
わたしが考えるまでもなく、当然のように春になれば桜はピンク色の花を咲かせる
誰が疑うこともなく…綺麗な花を咲かせている
たくさんの人の賛美を集めて
そしてあっという間に散っていく
それすら、儚い魅力だと賛えられながら