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愛を嗅ぐ【完結】
第3章 診断結果
「あなたが妬むのは、要はもっぱら同性が異性との恋や結婚です。あなたが問診で答えたところでは、今まで付きあった男性5人とのセックスで一度もエクスタシーに達した経験がない。男性とはいずれも数回の性交渉のあと、別れている。これは何を意味します?」


「いえ、私はあのう…」


「あなたはすべて相手の不十分さを突いて、自分はさしたる努力もせず、なんて男運が悪いんだと嘆き、身近の女性が結婚とかとなれば、その女性がどんな苦労と努力を重ねてささやかな幸せを手に入れたかなど、そっちのけだ。単純に隣の芝生の青さばかりに目が行き、他人の幸せを妬む。この身勝手極まりない思考サイクルが、あなたのビョーキとやらの根本要因なんです」


「先生…」


R子はけちょんけちょんにやられ、しょぼんとしてしまった…。


***


「いいですか、人への妬みや嫉みは人間なら誰しも心に抱く感情です。でも、我々は人間なんです。さっき言った通り、人が愛する人と結ばれるには、皆、多くの困難を乗り越えてきてますよ、大体は。それなら、そんな他人の幸せに接する機会があれば、自分も負けずに努力して、その上で、自分も素敵な相手を見つけ、一生懸命二人で努力し合って、きっとこの人より幸せになってやろうと‥。だから、今日はとにかくおめでとう。お幸せに。私も頑張って後に続きま~すって。そんな前向きな姿勢、ほとんどの人間には当たり前でしょう」



「…」


もう、R子に返す言葉など見当たらなかった。


「…それが、あなたには全くもって、できていない。人間の最も卑しい人をやたら妬み、あろうことかその幸せを壊してしまいたいなどという醜い心のまま、あなたは何十年も生きてきた。恥ずかしくないんですか?」


「…」


もう、R子は唇をかんで、両目からは涙があふれ落ちていた。


”なんて自分は卑しい人間なんだ!”


彼女はここにいたり、素直に自分へそう突きつけた。
そしてR子は、なぜこんな当たり前のことを、今までの心理診療士は言ってくれなかったのかと…、そんな単純に疑問が湧いていた。




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