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大魔王の子を孕みます
第2章 大魔王屋敷
眩い光が俺を包む。
ある種のエリア移動に似た感覚…。
目を腕で覆い、光の中を移動する。
ほんの一瞬のはずが永遠に感じる。
俺は今、大魔王城の入口に移動してるのだろう。
期待感が押し寄せて子供のようにワクワクする。
光が小さくなり、目を開ける。
これが未だ誰も見た事の無い大魔王城だっ!
意気揚々と大魔王城を見た俺の最初の言葉は
「へっ?」
という間抜けな感嘆詞…。
巨人でも通り抜ける事が出来そうな格子型の巨大な柵と門が俺の前は立ちはだかる。
しかし、その門の向こうに見える景色は意外と平凡だ。
いや、威厳があるといえばあるとは言える。
ラグビーとサッカーと野球、テニス、ゴルフが全部まとめて出来そうな芝生が広がる広い庭…。
その芝生の間を抜けるように建物に向かう石畳の小道…。
巨大な噴水があり、如何にも金持ちや貴族が好む佇まい。
だが、しかしっ!
「あれって屋敷だよな?大魔王城って触れ込みを出してたくせにデュセリオンの運営って城と屋敷の区別もつかない馬鹿なのか?」
どう贔屓目に見ても城ではなく、立派な洋式のお屋敷が噴水の向こうにどっしりと座ってる。
挙句、西洋風のご立派な門の門柱には
『DAIMAO』
とローマ字で書かれた表札が掛かってる。
「ふざけてんのかよ…。」
運営のくだらない冗談にガッカリする。
大魔王討伐を果たせば『勇者』ジョブ解放の他に大魔王からの特別な報酬があるとか説明にあったが、案外、大魔王討伐自体は楽勝であの大森林がゲームのクライマックスだったのかもしれないと安易に考える。
「だとすれば、まずはセーブポイントの確認だな。」
いつものように左手を翳し
「コマンド…。」
と呟く。