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大魔王の子を孕みます
第13章 女神
人が穏やかに暮らせる場所が出来たある日…。
『貴方は独りで寂しくないの?』
彼女がセラフに聞く。
初めて寂しいとセラフは感じた。
どれだけ楽しく女と時を過ごしても、彼女と過ごす時間の方が安らかで生きてる実感があると知る。
「本気で彼女に告白した。私の子を産んで欲しいと…。」
セラフが照れたようにはにかむ。
「そんでライズを産んで貰ったの?」
「そうだ。だが、人間とは勝手な生き物だ。」
セラフが苦笑いする。
怒りと哀しみをその瞳に宿して…。
セラフがゆっくりと息を吐く。
「私はまだ馬鹿な大魔王のままだった。」
壁の外で争いが始まった。
大魔王の街へ行くべきだと言う人々を、それは人を創った神々への裏切りだと攻撃する人々の戦いだった。
「彼女は自分も戦うと宣言して神々を敬う人々と戦った。私は彼女の好きにさせてやりたくて、ただ見てるだけの男だった。」
戦いに疲れた彼女を抱くだけの男…。
彼女は大魔王の魔力を宿し、人々の為に戦う。
そんな戦いの中で彼女はライズを産む。
『あれは悪魔の女だ。神々を裏切り、人々を裏切り、悪魔の子を産んだ女だ。』
そう思い込む人々が大魔王でなく彼女を襲う。
「油断していた。私は大魔王でなんでも出来ると…。」
セラフの油断がその悲劇を防げなかった。
幼いライズと居た彼女を、この街に居た人間が襲った。
彼女にもう戦うだけの魔力はなかった。
彼女の中にあった魔力は殆どがライズのものになってたから…。
彼女はただの人とほぼ変わらない存在だった。
「彼女を殺したのは、この街に逃げて来たフリをした人間…、神々の恩寵を受けた勇者だった。」
人は平気で嘘を吐く。
神々から逃げて来たフリをしてチャンスが来れば悪魔を産んだ女を殺す。
その勇者がライズの顔に傷を付けた。
母親を殺された瞬間、ライズの魔力が暴走する。