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大魔王の子を孕みます
第14章 勇者
真っ赤なビロードで出来たフカフカのベッド…。
いや、クッションと呼ぶべきか?
端は金の糸で刺繍され、フサまで付いた立派なクッションの真ん中に座り、ブルルと不機嫌に鼻を鳴らすバイコーンが居る。
「ガーラ…。」
俺が近付くとぷいっと横を向くガーラ…。
気位高き大魔王の愛馬は厩とは名ばかりの一軒家と呼べる立派な厩だというのに、押し込められ自由を奪われた現在はかなりのご機嫌斜めである。
「ガーラ…、お願い…。時間が無いの…。」
ガーラの機嫌を取る為に胸元を広げながら話をする。
賢いガーラは嫌そうだが、一応は俺の方を見てくれる。
「お前ならわかるよね?ライズが今、何処に居るか…。俺はライズのところに行きたい。お願いだから連れてってよ。」
俺の言葉が理解出来るガーラがゆっくりと立ち上がりクッションの上から降りて来る。
そのガーラの鼻先を撫でて口付けをする。
「ありがとう…、ライズを助けに行くよ。」
ガーラがヒヒンと嘶く。
今の俺が使える武器は相手を拘束する魔導器のコンパクトとガーラだけだ。
ライズを連れ戻す。
出来れば、その前にライズを攻撃しようとしてる勇者を拘束して、これ以上は大魔王に逆らうなと説得する必要がある。
厩を出れば、俺を乗せたガーラが一蹴りで城の敷地から飛び出し、次の二蹴り目には人の村を囲う城壁を越える。
今は夜…。
新月は出てるがかなり暗い。
夜を好む魔族に有利ではあるが、勇者の皆殺しはライズが街中の人々に不安と恐怖を与えるだけの大魔王になってしまう。
「ガーラ…。」
その鬣を撫でればガーラがライズが向かった方角を見つけて全速で走り出す。
感覚的にはガーラが2、3歩駆けた程度にしか感じなかった。