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大魔王の子を孕みます
第14章 勇者
それでも、随分と人の村から離れ、東側の森を抜けた先でガーラが立ち止まる。
ブルルと鼻を鳴らしガーラが何かに敵意を剥き出しにしてる。
「ここにライズが居るのか?」
俺の目の前には廃墟が広がってる。
屋根など無く、壁は崩れボロボロになる廃屋が左右に並んでる通路をガーラから降りてゆっくりと突き進む。
人の村と同じくらい広い廃墟だと思う。
「昔の人間用の街か?」
ガーラが首を俺に擦り寄せて、俺が正しいと教えてくれる。
つまり、ライズが滅ぼした街か…。
ライズは母親を女神と崇めた人々だけを残した。
人の村の店には小さな女神像が幾つも置いてあった。
闇夜で暴走する魔族から守られる街…。
その象徴としてライズの母親が今も祀られてる。
人は生き方を選べば悪魔にも神にもなれるとライズの母ちゃんが俺に教えてくれてる気がする。
俺は何になるのか?
答えは決まってる。
ライズのメイドであり、ライズを守る勇者になる。
慎重に廃墟の街を進む。
街の中央近くまで来れば、教会らしき建物が見えて来る。
他の建物に比べて、崩壊が少ない。
塔の上の鐘は無いが屋根などは残ってる。
ブルブルとガーラが首を振る。
「誰か居るの?」
ライズか?
それ以外の者か?
教会の外からではそれがわからない。
窓はステンドグラスになっていて中の様子が見えない。
「ガーラは待ってて…、やばい時はガーラだけ城に帰ってね。」
俺の言葉にイヤイヤとガーラが首を横に振る。
「大丈夫…、俺にはライズがついてる。」
ライズは何かあれば呼べという。
それは俺の中にある魔力とライズが繋がってるからだ。
俺はライズと繋がってる。
ライズを思い起こすたびにキュンとする子宮から、その繋がりを感じてしまう。