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大魔王の子を孕みます
第14章 勇者
手足の縄が解かれ、俺の身体が解放される。
同時に俺の身体がふわりと宙へ浮く。
ライズのお姫様抱っこ…。
顔を上げれば暗闇の中ではっきりとした紫の光が2つ輝いてる。
その紫の光に腕を回ししがみつく。
ロウソクの灯りが灯れば、恐怖と絶望のオーラを纏う大魔王の凛々しい姿が浮かび上がる。
「貴様っ!」
男達が剣を構える。
「私のメイドを傷付けたのはお前らか?」
大魔王の口から漏れる声…。
それは、いつもの優しいライズの声ではなく大魔王として人間を恐怖に貶める声だった。
「ヒッ…。」
男達の一部が腰を抜かして床に尻餅をつく。
失禁してる奴まで居る。
そりゃ、怖いよな…。
俺だけが呑気にライズの頬に顔を擦り寄せて、その温もりを楽しんでる。
「その女…、そいつが次の悪魔を産み出す女か?」
流石、勇者だと褒めてやりたい。
勇者だけは大魔王に向かって剣をしっかりと構えてる。
「質問をしたのは私だ。私の質問だけに答えろっ!」
ライズが叫ぶだけで男達の周りに黒い炎が取り囲む。
「ウヒィィッ!?」
失禁した男が気を失う。
「こんなものっ!」
勇者が剣を払えばライズの炎が消える。
「ほう…、神々の刻印を記す宝刀か…。」
ライズの瞳に怒りが滲む。
「これは悪魔を倒す為に神々が創られた剣…、その昔、悪魔を産んだ女を殺し、不死身の大魔王を傷付けたと言われる剣だ。」
馬鹿な勇者が自慢げに言う。
本当に愚かだ。
俺の大魔王がニヤリと笑う。
「そうだ…、思い出した。その剣…、馬鹿な男が私に向けて振り下ろした剣だ。そいつをこの世から消し去れる日をどれだけ待ちわびた事か…。」
ライズの恐怖のオーラが怒りのオーラへと変化すれば男達は金縛りを受けたように動かなくなる。