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大魔王の子を孕みます
第14章 勇者
「か…、覚悟しろ…、大魔王…。」
勇者は往生際が悪いらしく世迷言をほざいてる。
俺だけがため息を吐く。
ライズの怒りはピークだ。
「覚悟か…、いい度胸だ。その度胸に免じて一瞬では殺さぬ。お前には特別に私達が受けた5千年の屈辱の炎の中で5千年の苦しみを与えてやろう。」
再び、勇者の周りをどす黒い炎が取り巻く。
勇者がゴクリと唾を飲む。
こりゃダメだ…。
そう思う俺はライズの頬の傷を撫でる。
「止めろ…、ライズ…。」
俺の言葉に勇者もライズも驚きの表情を見せる。
「何を言い出す?」
ライズが確認する。
「勇者を弄ぶのを止めろって言ってんだよ。」
「即死がシロの望みか?」
嬉しそうにライズが俺の鼻にキスをする。
「違うよ。ライズ…、この勇者を逃がしてやれって言ってんの。」
「逃がせだと?何故だ?これは勇者だ。私やシロを狙う者を野放しには出来ん。」
ライズが俺にも怒りを見せて来る。
「なら、俺も殺すか?俺だって勇者になろうとしてた人間だ。嘘吐きで愚かでどうしようもない人間だよ。」
「シロは違う。シロは特別だ。シロが私のものである限り私はシロを殺させはしない。」
「だったら、その優しさで勇者も許してやれよ。」
「シロに危険を及ぼす存在など認めぬ。」
「認めてやれ…、このオッサンを晒し者にして殺せば、愚かな人間は恐怖を感じてますます神を求める。そうやって俺を殺そうとする奴が開かずの間の主のようにどんどんと増えて来る。」
「シロ…。」
「終わりにしよう。ライズ…、お前の母ちゃんが始めた争いを終わりにしなければ俺はお前の子なんか怖くて産めなくなる。」
ライズの戦いは俺を守る為…。
でも、それは恐怖を産み、その恐怖の元を絶とうとする人間は幾らでも湧いて来る。
人間は嘘吐きで自分勝手な生き物だから…。
ここで、その恐怖を終わらせてやると俺はライズを説得し、ライズが人間を愛せる魔王だと勇者達にわからせる必要がある。