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大魔王の子を孕みます
第3章 テラス
暖かくて気持ちが良かった。
アミルさんが笑ってる。
『オタクでも良いんだよ。若いうちは好きな事に熱中すれば良い。僕はそうやって今の僕になれたと思う。』
オタク仲間のアミルさんがそう言ってくれるから安心する。
アミルさんはオタクの世界で事業に成功した人…。
今や大企業の社長でデュセリオンに数百万という大金を課金してしまうアミルさんは女に不自由をした事が無いと俺に言う。
『オタクだからモテないんじゃない。オタクだからと俯いて卑屈な態度を取るからモテなくなる。オタクでも堂々と胸を張ってやってれば凄いだカッコいいだと女の子は言ってくれる。』
要するに自分の気持ちの問題だとアミルさんが俺を笑う。
オタクな俺に呆れる千夏さんや馬鹿にするシエルさんの事なんか気にする必要はないとアミルさんが教えてくれる。
俺…。
アミルさんみたいになりたかった。
いつも自信満々のアミルさんみたいな男になりたいと願っていた。
そんなアミルさんが俺から遠ざかる。
「アミルさんっ!」
そう叫んで飛び起きる。
起きる?
自然と笑いが込み上げて来る。
今、間違いなく俺は寝ていた。
つまり、ここはゲームの中ではなく現実なんだと確信する。
現実って事ならば今の俺は小汚いワンルームの部屋の自分のベッドに居るはずだ。
デュセリオンで謎の大魔王に会ったとか、きっと、あれは俺のくだらない夢で俺はちゃんとリアル世界に居ると期待する。
その期待は軽く裏切られる。
まず俺の目に入って来たのは、ベッドはベッドだが俺の愛用の安物のシングルベッドではなく、天幕とかいう屋根付きの豪華で巨大なキングサイズベッドだ。
どこだよ…、ここ…。
恐る恐るとベッドを抜け出し辺りを見渡してみる。