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大魔王の子を孕みます
第3章 テラス
窓があり、その向こうにテラスが見える。
テラスの向こう側には星が輝く夜空があり、スーパームーン並の巨大な満月もある。
嫌な予感がする。
俺がアミルさん達と別れて渓谷を抜けてエリア移動をした時に見えてたスーパームーンを思い出す。
デュセリオンじゃ、エリアごとに時間や季節が違うのが当たり前だからと、この大魔王エリアが夜の設定になっててもおかしくないって程度にしか考えなかった。
今は、もしかすると、あの時と同じスーパームーンじゃないかと怯えてる俺が居る。
怖々と窓に近付き、テラスの手摺りの向こう側を確認する。
「うげっ!」
そう叫ばずにはいられない。
そこには、あの趣味の悪い巨大な噴水が存在する。
「いやだ…、助けてくれ…。」
再び押し寄せる恐怖に泣き言が出る。
「ん?」
泣き言…?
いや、これって俺の声だよな?
「あー…、あー…、あ~♪只今、マイクのテスト中~…。」
発声してるのは間違いなく俺の喉…。
だけど、その声は俺の馴染みある音声ではなく、コロコロと鈴を鳴らすような可愛らしい声にボイスチェンジされている。
「なんだよ?この声っ!?」
そう叫ぶと同時に驚愕する。
外を見ようとして窓に添えられた俺の手は、明らかに俺の手じゃない物になってる。
小さくて可愛い女の子の手…。
アミルさんのアバターを思い起こす自分の手に怖くなり、手が勝手に震え出す。
振り返れば、部屋の壁に全身を映し出せる鏡がある。
まさかとか思いながら、その鏡の前へと進む。
鏡の中で引き攣った笑いを浮かべてる女が居る。
「ひら…ばやし…さんっ!?」
平林さんとは、今年、俺が務める会社に入って来た可愛らしい新人の女子社員である。