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大魔王の子を孕みます
第3章 テラス
うちの会社は大手の広告代理店…。
男性社員の大半が外回りで社内食堂は滅多に使わない。
そんな話でも千夏さんは俺に目くじらを立てて叱る。
『本当に馬鹿?女子社員の中で浮いてる子でしょ?お勧めなんか言い訳でシロと社食に行きたかっただけよ。』
『なんで俺と?』
『下手な男だと勘違いされて怖いからよ。優しい先輩なら大丈夫って安心感があるの。その安心してる時が男には自分アピールのチャンスだって事よ。』
自分アピールとか意味がわからん俺を千夏さんはドラゴン退治にかかる2時間の間、ずっと文句を言い続けた。
そんな事があり、千夏さんを含め、女心なんかさっぱりわからん俺にライズは女心を聞いて来る。
今更、ライズに犯されるのが嫌で言い訳しましたとは言えず
「その…、人間の女心って色々と複雑でさ…。」
モゴモゴと言い訳すればライズはパチンッと指を鳴らす。
白いギリシャ風のテラスの端に陽炎のような揺らぎが立つ。
その揺らぎが人型を成し始め、銀の髪に銀の口髭を貯えた初老の男へと変化する。
燕尾服に蝶ネクタイという古めかしい出で立ちの初老はライズの前に一度だけ傅くと、魔法のようにテーブルクロスを広げて取り出したテーブルと椅子の用意する。
「ご苦労、メフィスト…。」
ライズはそう言って優雅にメフィストが引いた椅子に座り、俺を軽々と引き寄せて自分の膝の上に乗せてしまう。
メフィストって悪魔の中でも偉い奴の名前だよな?
メフィスト自体が悪魔の大ボスってイメージだったのに、ライズはそのメフィストを執事のように従えてる。
「まずは、その複雑な女心とやらを聞かせて貰おうか…。」
沈黙したままのメフィストがライズの前に紅茶とパイ生地にクリームと苺を挟んだケーキを用意中だというのに、ライズは俺しか見ずに俺の頬を優しく撫でて話の続きをせがんで来る。