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大魔王の子を孕みます
第4章 温室



いつの間にかメフィストの姿はなく、ライズがしつこく俺の太腿を撫で回すという行為が続いてる。


「…んっ、だからダメだってばぁ…。」


半分くらい、その気になってる女が甘えた声を出す。


「だから、何が問題だと言うのだ?」


俺の首筋に唇を這わせて、時折、舌で味見をするライズがクスクスと嫌な笑いを聞かせる。


「えーっと…、確かに今となってはライズを見知らぬ男とは言えないかもしれないけど…、はっきり言ってライズの事を何も知らない。しかも、俺は大魔王の子を産むんだよな?子供って産んだら終わりじゃなくて育てたりとか色々あるじゃん。」

「ならば、何が知りたい?シロが知りたい事は全て教えてやる。」


しめたっ!

とか思う。

これで俺の方がライズを質問責めにして、少しは時間が稼げる。


「まずは太腿の手をどけて…。」

「何故だ?」

「話しにくいから…。」


俺が少し拗ねたように言えば、ライズが軽く肩を竦めて諦める。

太腿にあったライズの手から解放される俺はホッと息を吐く。

その代わり…。


「腹が減ってるだろ?」


そう言いながらライズはフォークで小さく切り分けたケーキを俺の前に差し出す。


これって…。


ニコニコと笑うイケメン男に『アーン』をさせられる状況を把握した俺の顔が赤面する。


「自分で食うし…。」


ライズからフォークを取ろうとすれば


「剣士だと名乗ったお前に武器になるものは渡せない。」


と一瞬で、あの恐怖のマジ顔を見せて来る。


怖いっす!


ライズに逆らう事は不可能だと確信する俺は諦めて小さく口を開いてみる。

ゆっくりとライズが俺の口の中へとケーキを押し込む。

たった、それだけの事だけど、俺からすれば、ここは間違いなくデュセリオンという仮想世界でなく、大魔王ライズが存在する現実なのだと実感するには充分だ。


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