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大魔王の子を孕みます
第5章 初夜



ただ悔しくて…。

ただ切なくて…。

ライズの首に腕を回して俺の方へと引き寄せる。

お姫様抱っこされてるのは俺なのに…。

俺の方からライズの唇に唇を押し当てる。

ライズが目を見開いて俺を見る。


ざまあみろっ!


あの大魔王に間抜けな顔をさせてやったと俺は少し満足する。

ライズからゆっくりとキスを離せば、ライズが嬉しそうに笑う。


「やはり私に惚れたか?」


自信たっぷりな笑顔がムカつく。


「惚れてない…。」


その代わり、身体がやたらとムズムズする。

ライズは不思議そうに俺を見る。


「そんなはずはない。『淫蘭』の樹液は媚薬で惚れ薬の原料に使われるものなのに…。」

「何っ!?」


頭をハンマーで殴られた気分だ。

惚れ薬?

それは卑怯だろ?

ライズが惚れ薬で俺に惚れさせようとしてるとか、大魔王としてはセコいとか感じる。


「シロはもう私に惚れてる。」


自信満々で余裕の笑みを浮かべるライズに腹が立つ。

しかも、綺麗な紫の瞳で俺を愛おしげに見つめて指先で何度も俺の顔を撫でて来る。

顔が熱くなる。

俺はライズが好きで堪らない。

例え、薬のせいだとしても俺のお腹の奥がキュンキュンしてライズの身体を求めてる。


「絶対にライズになんか惚れないっ!」


やけくそで叫んでた。


「そうか?ならば試してみよう。」


裸の俺を抱き上げたままライズは怪しげな温室から出て屋敷の方へと歩き出す。


「試すってなんだよっ!?」

「シロが私を好きかどうかだ。」


ニヤリと笑ったライズが俺を抱っこしたまま地面を蹴れば、あっという間に俺とライズは空の上だ。

しかも、あの馬鹿デカイ屋敷を飛び越えてライズはさっきのテラスへと着地する。


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