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大魔王の子を孕みます
第9章 闇夜
ミルが用意する朝食を食べながら、この世界について俺は色々とミルに質問する。
魔族は食事をしないが亜人であるミルは食事をする。
メフィストほどの腕前はないが、ミルが作る家庭料理は充分に美味いと俺は思う。
「そもそも、この闇夜ってなんなんだ?」
「闇夜は闇夜ですよ。」
「いつ終わるの?」
「新月に変わったらです。」
こんな具合でミルから得られる情報は限られてるが無邪気に答えるミルを憎めない。
常に夜である魔界には時間の感覚が存在しない。
目が覚めれば朝で眠くなれば夜って感覚だけで時間を感じるのが魔界流らしい。
一つだけわかった事は…。
「新月の日は凄いんですよ。魔界の新しい年になりますから、魔界中がお祭りになるのです。」
とミルが嬉しそうに言う。
要するに正月みたいなものかと俺は納得する。
時間の感覚が無い魔族はそうやって自分の年齢を新月で数えるとミルが言う。
「ミルは幾つになったんだ?」
「ミルは新月で120歳になるのです。」
エッヘンとミルが小さな胸を張る。
人と魔族は流れる時間が違う。
俺は何歳までライズと居られるのだろう?
そんな不安が頭を過ぎる。
「ライズって…、幾つなんだ?」
「さぁ?億はいってるだろうと村の噂では聞いた事がありますけど…。」
「億っ!?」
だとすれば俺の存在なんて瞬きする程度なのか?
なんか凹んで来る。
「ミルは…、シロ様が羨ましいです。」
何故かミルが頬を赤らめてシナを作る。
「羨ましい?」
「あのライズ様にあんなに大切にされてるとか、魔族の誰もがシロ様に憧れちゃいますぅ。」
大切に…。
してくれてるライズを平気で足蹴にして蹴飛ばしたりしてる俺が魔族の憧れの対象になるとかあまり考えたくない。