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蕾は開き咲きほこる
第24章 それぞれの一歩
「またその話ですか?何度も聞いたので聞き飽きましたが……今更でしょう?そんなの」
「光春さん???」
恥ずかしげもなく言い放った光春さんに声を上げると、一番端に座っていた光春さんはカウンターに片肘をついたまま私に視線を向けて微笑んでいた。
その微笑みを直視できずに視線を逸らすと、反対側に座っていた知絵子さんと目があった。
「あ~もう!何?この甘ったるい感じ!独り身の女に見せつけないでよね!!――ここに居ても当てられるだけだから帰るわ」
「あらっ、もうそんな時間??」
知絵子さんは頬を膨らませながらバッグを手に取って立ち上がると高畑のおばあちゃんも腰をあげた。
「少し早いけど帰りましょう。これ以上いたらこっちが恥ずかしくなっちゃう!!!」
引き留めようとしても、「暑い暑い」と言ってコーヒー代を渡して帰って行った。
せっかく楽しく話していたのにと光春さんを睨んでも、涼しい顔をして私の横に座りなおした。