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美女の身影
第17章 支配
長坂佑奈が予約していた店は、女子が好みそうな小洒落た内装のカフェバーだった。

テーブルを挟んでいるだけのこの距離がとてつもなく近く感じる。

高校時代に教室で話す時とはシチュエーションが違いすぎるのか、達之はかなり緊張してしまっていた。

大学に入ってさらに磨きがかかっている長坂佑奈のルックスに圧倒されてしまっていた。

佑奈「久しぶりすぎて緊張するよね」

長坂佑奈がこっちの頭の中を見透かすように薄っすらと微笑む。

佑奈「メニューどうぞ」

達之「ありがとう」

佑奈「相田くん、お酒飲んだりする?」

相田「まあ、少しだけね。そんなに強くないけど。長坂さんは?」

佑奈「私も少しだけ、同じくそんなに強くない・・・笑」

相田「今日はどうする?飲む?」

佑奈「相田くんが飲むなら、私も飲む」

相田「じゃあ俺はビールで」

佑奈「大人だね。私は何にしようかなぁ」

佑奈がドリンクのメニューに目を落とす。

やっとまともに彼女の顔を見ることができた。


俯いているので綺麗に生え揃った長い眉毛がはっきりと見える。


顔面もスタイルも声も性格も男の理想をすべて詰めんだような女と2人きりで食事をして緊張するなという方が無理だと達之は思った。


そんな女と自分がプライベートで会っているということがいまだに実感が湧いていなかった。


あまりに透明感のある肌を見ていると吸い込まれそうになる。


視線を感じたのか、佑奈がメニューから目線をあげて真っ直ぐにこっちを見る。


達之は慌てて視線を逸らした。


佑奈はふふっと少し笑って、「ごめん、決めるの遅いよね。優柔不断なトコ出ちゃった」と言う。


達之「いや、いいよ・・・ゆっくりで」


佑奈「うん、大丈夫。決まった」


達之が店員を呼ぼうとするより早く佑奈が手をあげて「すみません」とよく通る声で店員を呼んだ。


その声を聞いて店員だけではなく店内の他の客もこっちを見る。


佑奈「あ・・・声大きすぎたかな?笑」


佑奈が気まずそうに達之に目配せしながらはにかんだ。


声が良く通ったからと言う事もあるだろうが、他の席の客がこっちを見たのはその透明感のある声の主がどんな人物なのか確かめたくなったからだろうと達之は思った。


男女問わず振り向かせてしまうほどの魅力的な美声までも長坂佑奈は持ち合わせていた。
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