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第8章 チャプター08

　男が乳首に吸いついたまま、上体を倒してきた。郁美も草の上に仰向けに横たわると、彼女の両脚の間に、男が躰を入れてきた。ペニスが郁美の太腿に時折、当たり、そこがかなり熱を帯びているのがわかった。
　男の舌は胸からお腹、臍、それから脚の付け根へと下ってきた。脚を大きく広げられたと思った瞬間、膣に口をつけられた。
　膣を指で広げられると、亀裂を舌の先が何度も何度も、往復した。
「あ……あぁ、いッ、いいわ」
　男の指が郁美の、皮を被った陰核を剥いた。指で摘まれ、激しい快感に腰が動いた。背が仰け反る。
「も、もっと、優しく。お願い……ね？」
　郁美はそう言うと、男が舐めやすいように、小陰唇を指で開いた。
　見ず知らずのの男と、してはいけないことをしている――そういう背徳感はトイレで犯されてしまってから、どこかへ消えてしまったようだった。官能に溺れ、極められるのなら、その快感を可能な限り享受したい――そのように、思った。
　かつて、風俗店で勤めていた時も、そうだった。男たちの性の欲望の対象としてしか生きることができないのだから、感じるまま、自分も肉の悦楽の波に堕ちてしまえばいい。というよりも、そう考えなければ、とても毎日、毎日、男たちと肌を合わせることなど、できはしなかった。
　男は陰核に触れてくるのをやめ、郁美が求めるまま、膣口に顔を近づけてきた。舌をすぼませ、奥へと差し入れてきた。
「あッあ、あぁ、い……いいの。そこ、そこを、もっとぉ」
　郁美が言うと、男はそこを中心に攻めてきた。トイレで郁美を犯した男は、声や躯の反応をもとに官能を極めさせようとしていたが、男はそういうことにあまり、興味はないようだった。自分の舌技で女を感じさせることに、悦びを見出だしてはいるようだが、それも自分が興奮するからみたいだった。
　男は舌を動かすのを止め、郁美の顔を見上げた。
「おれのちんぽも、舐めてくれないか」
　郁美には、それを断ることなど、できなかった。男をここまで興奮させてしまったのだし、郁美もいくとことまでいかなければ、満足することはできなかった。