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朏の断片‐ミカヅキ ノ ダンペン‐
第3章 #2

真っ白なスライド式の扉を開くと、カーテンの向こうから少女の声が聞こえた。
「おかえりなさーい」
自分と瓜二つの顔は、弛んだ垂れ目でたいてい微笑んでいる。違うと言えば肩に触れるかどうかという長さに切り揃えられた髪と、パジャマ越しにでも分かる痩せた身体。少しだけ膨らみのある胸。
「遅かったね」
クリクリと目が笑って、好奇心に輝いていた。
「……超楽しそう……」
「ふふー* どうなったの?デート」
そこまで言われて、ふと気付く。
「あれ……そういやデートの話はどうなったっけ」
「えー?真希、ちゃんと言ってくれたー?」
上田の双子である美希は、ぷくっと頬を脹らます。
「言ったってば。クソ恥ずかしかった」
ふて腐れたように上田が椅子に座ると、美希はまたニコニコと笑った。

