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朏の断片‐ミカヅキ ノ ダンペン‐
第3章 #2

笑顔が凍り付いたようにそのまま一切変わらない表情で、美希がギギギとぎこちなく首を回して上田を見た。
「デートしてくれって言った途端いきなりキスされた」
「・・・・・・」
「あと車の中でもされたな」
淡々と事実を告げる。あったことを報告する、それは至って当然のことだ。毎日毎日学校や家での話を思い出す限り美希に口頭で伝えている。だが上田はボンヤリと片桐を思い浮かべながら次第に沈黙した。
(脱がされたとか触られたとかは、『ミキとして』じゃないから言わなくてもいいのか……。)
だが片桐が彼女にしてやると言ったのも美希ではなく上田に対してである。
(……俺がミキとして付き合う分には、アイツの意思は関係ないか)
ふと気付くと目の前の美希がモジモジと言い出しにくそうな仕草をしていた。
「――何?」

