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朏の断片‐ミカヅキ ノ ダンペン‐
第3章 #2

「キスって……どんな感じ?」
何故か美希の方が赤い顔をしていた。上田は軽く首を傾げた。
「どんな――?」
「初キッスはいちごの味!とか漫画に書いてあった」
「え。……なにそれ、いちごなんか食ってねえよ」
質問の意味がわからず上田はぶっきらぼうになる。だいたい言葉にして伝えられる気がしない。片桐の感触を思い出すが、表現は難しい。
美希の為にやっていることなのに、美希が知りたいことを伝えられない。上田は立ち上がる。
「アイツみたいに出来るかな」
ボソリと呟いた上田を見上げて、ベッドに腰かけたままの美希はポカンとしていた。
「ちょっとやってみるから」
美希の返事も待たずに上田はなるべく片桐がしたように美希の唇を塞いだ。美希の舌を舐めてもやっぱりいちごの味はしない。
(……あれ、)
同じようにしているつもりでもどこか違和感がある。ゆっくり唇を離して美希の目を覗き込んだ。
「ドキドキした?」
「……えっと、びっくりはしたけど。ドキドキなのかな?」

