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最後のキス~琉球の海を渡る風~ 
第3章 The wind of Ryukyu~琉球の風~
「そろそろ、この辺で良いだろう」
 王が独り言めいて呟き、懐から何やら取り出した。綺麗な色の風呂敷を解くと、おもむろに差し出す。
「あのときはまだ幼くて露店で売っているような安物しか買えなかったが、今は少しはマシなものが贈れるようになった」
 差し出されたのは大きな紅珊瑚を花の形に彫り込んだ簪であった。花びらの細い筋まで一つ一つ繊細に仕上げた職人技の光る逸品である。安物どころか、恐らく値は付けようがないのではと思われた。
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