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秒針と時針のように
第2章 顔を見た瞬間からの嫌な予感
「忍」
「もう呼ぶな。拓と友達やめる」
 前屈みになって足を放り出して飛び降りる。
 タトン。
 砂地に軽く手を着いて。
 起き上がりたいのにそのまま座った。
 足を抱えて。
「やだ!」
 上から拓が叫んだ。
 あまりに大きく叫ぶものだから、びくうっと背中が飛び上がった。
 急いで振り返ると拓がわなわなと震えて唇を噛み締めている。
「お……まえ、なにいってんの? なにいってんの忍。オレと友達やめる? 馬鹿じゃねぇの、いや馬鹿にしてんの? そもそもオレは忍とは友達じゃねぇし、そう思われてたのがすげぇやだ」
「……は?」
 拓が何にキレてるのかよくわからない。
 勢いよく拓が隣に着地して、俺の両肩をがしっと掴んだ。
「オレは忍の親友だよな。親友ってある日いきなりなったりやめたりするもんじゃないよな。クラスの誰よりオレは忍が好きだし、忍と遊んでるときが一番楽しいんですけど忍は違う訳? ひょっとしてオレがいなくなったら第一中でさっさと代わりの男子と仲良くなるんですか。いっとくけどそんなことさせねぇから」
「ちょ、ちょっとストップ」
 早口ですらすらと言う拓の迫力は怖すぎだった。
 しかもなんか嬉しいこと言われてる気もして余計よくわからなくなる。
 あとなんで後半敬語なんだよ。
「忍に頼みたいことがあんの」
「な……なんだよ」
 かろうじてそれだけ言えた。
 拓はやっとそこで恥じらうように赤くなって、とんでもないことを頼んだ。

「オレと一緒に都立中に行こう」
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