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秒針と時針のように
第4章 認めたくないこと
 学ランが剥ぎ取られ、シャツのボタンも外される。 
「今日のタンクトップは紫でーす」
 実況するようにテンション高い声がする。
 何も見えないから余計に不快だった。
「やめろ……」
 口では強気に言うが、殆ど抵抗が出来ない。
 それをわかっていて奴等も愉快そうに笑う。
 裾に指がかかり、ゆっくり捲くしあげられる。
「うわー。筋肉すげえ」
「あのたっくんに勝つくらい運動出来んだもんな」
 腹筋の溝を指が這い腰が動く。
 つーっとなぞったかと思うと、ぐにぐにと指の腹で弄られる。
 ざわざわと寒気が走る。
「っ触んな」
「華奢な体に見えて意外に男らしいんだよな」
「そこが最高」
 今度は一気に鎖骨まで晒され、冷気が肌を舐める。
「うわ……女みたいな乳首」
「毛も全然生えてねーし」
「白いなー、やっぱ」
 その言葉一つ一つが鼓膜を汚すようで耐えられなかった。
 こんなクズどもに好きにやられている自分への嫌悪も止まらない。
「いい加減にしろ……糞野郎」
「そうそう。その顔に似合わない口調がまた可愛いんだ」
「うぜえんだって、んあっ」
 頭まで電気が走る。
 たった今上げた自分の声に戦慄した。
 な、なんだ。
 何が起きたんだ。
 荒い息でなんとか呼吸する。
「チョー敏感」
「今の声、やべえ……」
 刺すような痛みと、あと……なんだ。
 また指がそこに当たる。
「ふ……っく」
 見えないから、余計に不気味だった。
 摘まれてるのか、潰されてんのかもわからない。
 ただ、痛いくらいの刺激にビクビクと痙攣する。
「独り占めしてんなよ」
「我慢なんねえんだけど」
「後でカメラ代われよ、お前ら」
「わかってるって」
 そんな短い会話が合図のように、一斉に何本もの手が体に伸びてきた。
「やめっんんッッ」
 叫ぼうとした口に舌が侵入する。
 閉じたくても、体への容赦ない刺激で力が篭らない。
 ピチャピチャ。
 胸元からの水音に頭が痺れる。
 カリッ。
「んぐっ」
「すっげ腰揺れてる」
 歯を立てられ、食むように吸われる。
 服を押え上げ腋にも貪りつく。
 腕を下げたいのに、ただ好きにやられるしかなかった。


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