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Gemini
第2章 キスの味
顔の角度を変えながら、ノアの舌は私の中に入ってくる。

「カナデ…カナデも舌出して」

少しだけべーっと口の外に舌を出すと、ノアは私の目を見ながら呟いた。
「Tu me fais craquer…」

ちゅぅ…音を立てながら私の舌を吸うと、今度は日本語で言った。
「もっとカナデを味わいたい」

手を引かれてベッドに並んで座ると、肩を抱き寄せられる。
「ノア…」

「カナデ、そんな顔するんだ」

ノアの舌に押されながら、ベッドに倒れ込む。肩に回されていた手はそのまま腕枕の状態になり、私の肩を超えて頭を抱えている。

私の口の中でノアの舌と私の舌がつつきあって、撫であって…頭がぼーっとしてくる。私はキスでいっぱいいっぱいなのに、ノアは指先で私の肩や腕をなぞるように触れはじめた。

そのくすぐったい刺激に、鼻から息が漏れてしまう。
「んっ……ふぅ……」

指先が耳の形を辿るとくすぐったさがゾクゾクとした気持ちよさに変わった。

「んっ…んぁ……っふ…」
ノアの口の中にまで息が漏れていくのが恥ずかしい。

耳に触れられると舌の触れ合いに意識が行かなくなってしまう。

いつの間にか離れていた唇がほっぺに触れた。すぐにノアの指先が同じ場所を撫でた。

「カナデ…俺の目、見て」

目の前にあるノアの顔は絵本に出てくる王子様みたいに美しくて、まともに見続けることが出来なかった。

「恥ずかしいの?」

こくんと頷くと、まぶたの上にキスされた。

「もう止める?」

少しだけ首を横に振るとまたノアの唇が私の唇に戻ってきた。

「キスするの好き?」

少し迷ってから、こくんと頷いた。だって、キスするのが好きなのか、ノアが好きなのか、決められなかったから。
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