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Gemini
第2章 キスの味
きっと本当にウチに来る気でいるに違いない。

私はちゃちゃっと部屋を片付けて服を選ぶ。ちょっとワクワクしちゃってるのはバレないようにしないと。

顔を洗って髪を整えてたら、玄関のチャイムが鳴った。そこには、私の重たいバッグを持ったノアが立ってた。

(あ、受け取りそびれてた…)

「重たいから部屋まで運ぶよ」

当たり前みたいに私の部屋に入っていったノアを追いかけて、私も部屋に行くと、いつもの家庭教師用のイスに座ろうとしてた。

(なんだ…)
ちょっとだけ、1ミクロンだけガッカリ。

「始めようか、カナデ」

「…うん」

言われるがままにイスに座って数学のセットを出す。ノートを広げてシャーペンの芯をカチカチ出してるときに、ノアがおもむろに言った。
「カナデ、キスする時、息止めてた?」

「いっ?!」
びっくりしてシャーペンが手から落ちた。

「息しないと死んじゃうよ」

「…でもどう……いい!分かった。はい。」

床にまで転がり落ちたシャーペンを拾って顔を上げると、ノアが顔を近づけてきた。
「練習しよう」

「しない!しなくてい……っ」

チュッ…一瞬のできごとだった。腕を支えられて抱きしめられると、また唇が重なった。チュッ…チュッ…チュッと音を立てて唇が吸われたあと、また抱きしめられた。

ノアの腕に包まれながら、指先で腕をなぞられるとむず痒いようなくすぐったいような感じがして落ち着かない。胸に顔を埋めてノアの匂いに満たされる。

指をあごに当てられてもう一度…

今度は舌が少しだけ入ってきて、私の唇を内側からもくすぐる。その刺激に思わず鼻から息が抜けてしまった。
「んっ…ふんっ…」

「そうだよ…上手だね」
触れたままの唇が私を褒めてくれた。
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