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Gemini
第10章 20cm
夏休みが始まっても、学校の夏期講習があるから相変わらずの毎日だった。
とはいえ、ゆっくり目の朝は電車も空いてたし、お昼前に授業が終わるから、午後もたっぷり遊べる。毎日のように凛とたっぷりしゃべって語ってから、家に帰る日々だった。

その日は凛に誘われて、お昼をファミレスで食べることにした。ふぅふぅとドリアを冷ましてる私の横で、スマホとにらめっこしてる凛。

「ハンバーグ、冷めちゃうよ?」

「あぁ。うん。そうなんだけど……あっ!」

凛が満開の笑顔を向けた先には、ヒロと和樹の姿があった。

「え?うそ…」

「サプラーイズ!」
いたずらっ子の笑みをしてる凛に向かって、ヒロが両手を広げながら近づいてきた。

「りんりーん!」
「恥ずかしいから、声、ちっちゃく!」
凛の隣にくっつくみたいに座ったヒロ。今にも頬擦りしそうな勢い。

「おっす」
和樹は少し間を開けて私の隣に座った。今日も髪がツンツンしてお出かけモードの髪型だ。前よりもだいぶ明るくなった髪色は、和樹によく似合ってる。

この間の深夜LINEの後、1回軽くメッセージを送りあったきり、なんとなくそのままになっていたから、少し照れくさかった。

「元気…だったよね?」
「おお、まぁ。それなりに。そっちは?」
「うん、元気。」

「なんか、焼けてる?」
少し黒くなったように見える腕を指さした。
「2回海行った」
「へぇぇー、いいなぁ、楽しそう!」

「そっち…奏は?海とか」
「一昨年伊豆に旅行に行ったよ」
「しぶっ。じゃ、今度海も行こう」

「講習が終わらないと夏休み始まらなーい」
凛がテーブルに突っ伏した。

「講習いつまで?」

「来週の火曜日まで」
誰よりも早く答えたのはヒロだった。
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