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Gemini
第10章 20cm
それからも暑い日が続いて、ついに夏期講習もゴールが見えてきた。週末近くなって、またノアの家庭教師の日がくる。

インターフォンの向こうに映っていたのはノアじゃなくてルカだった。開けないわけにもいかず、ロックを外すと、玄関に入ってくるなり両手を広げて私を呼ぶ。
「mon bébé」

私は引き寄せられてその腕の中に収まった。当たり前みたいに抱きしめられて、当たり前みたいにキスをする。

ピチュゥ…
じっとりとした音をさせながら、何度も顔の角度を変えて舌と舌を舐めあった。

ルカのキスは気持ちがいいと知ってしまってから、私はもう自分から止めることなんてできなくなっていた。

チュプッ…プチュゥ…
私の舌を吸って唾液をすする、その微かで細かな振動が、なぜか私のクリトリスまで震わせるような気がして。
下げていた両手はいつの間にかルカの肩にしがみつき、そして今にも首に手を回そうとしている。

(和樹との距離はいつまで経っても縮まらないのに…)

ノアとの距離は一瞬でゼロだ。


「何?オレが恋しかった?」

「そんなことないよ」

「そうかよ」
Tシャツワンピを捲りあげて、パンツの上からグリグリと押してくる。なんて意地悪い笑顔をするんだろう。

「やっ、ちょっと、やだ」

「やじゃないだろ?ほら。」

ルカの指が捏ねるみたいに動くと、クチュクチュと音がした。紛れもなく私から出た水分。

「このままノアがくるまでイカなかったら、止めてやるよ」
噛み付くみたいに耳たぶを挟みながら、そんなことを言った。

「っふ……ん………っん……」
唇を結んで声が出るのを我慢する。

私の気持ちを考えてくれないルカに抵抗したかった。
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