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Gemini
第11章 尋問
「じゃ、オレ帰るわ」

ルカは何事も無かったみたいな素振りを見せた。
ベッドの上に転がってたあれも跡形もない。バスタオルまでキレイに畳まれてる。

「勉強頑張れよ」
私の頭を抱き寄せて頭にキスをする。
「あ…うん。」
我ながら間抜けな返事をしてしまった。


ドアに手をかけながら、ノアに向かって言った。
「おい、余計なことまで教えなくていいからな」
「は?当たり前だろ」

ルカが出ていったあと、部屋の中は音を無くした。いつもなら、話すきっかけをくれるノアが黙ってるからだ。

ベッドに座ったまま黙って私を見てる。

机の方に行った方がいいのか、隣に座った方がいいのか、ルカといけないことをしてたことを謝った方がいいのか…
壁にもたれることもできず、ただ立ち尽くしていた。



「……カナデ」
急に名前を呼ばれてビクッとなる。
「はい」
変な返事…。

「もっと近くに来て」
手を伸ばせば触れられる距離まで、吸い寄せられるように数歩移動する。

ノアは私の手をとるとその甲に唇を押し当てた。
「こんなかわいい手で何してたの?」

(そんなの…答えられる質問じゃない)
私は首を振った。

「口で答えられないなら、体に聞くよ」
Tシャツワンピの上から鼻を押し当てて、すぅっと匂いを嗅いだ。

「ずいぶん興奮したんだね?」
恥ずかしくてノアの目を見ることもできない。

もう一度同じようにして匂いを嗅がれる。すべてが見透かされてしまいそうで、何も言葉が出てこない。

「もしかして…アヌス?」

どこまでバレてしまったのか…
もうすべて分かってるんじゃないか…

ノアの手が畳んであったバスタオルを広げた。
「…こんなに濡らして。また潮ふいた?」
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