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Gemini
第13章 花火大会の夜
花火大会の当日。
荷物が多いからってまた迎えに来てくれた和樹は、少し髪が短くなってた。

「和樹も浴衣着るの?」

「どうすっかな?って」

「着たらいいよ!背も高いし似合いそう」

「ヒロは着てくらしいけど…」

「それなら絶対、和樹も浴衣にしよ!」

「じゃあそうすっかな」


和樹の家で髪をアップにセットしてもらってから、着替えた。一応一人で着れるように練習はしたんだけど、和樹のお母さんに手伝ってもらうとすごく気心地がよかった。さすがプロだ。

和樹の家のお店の前でふたり並んだ写真を撮ってもらった。
「うんうん、いいね!行ってらっしゃい!」

せっかく浴衣を着た和樹に、私の着替えを持たせるのが申し訳なくて、後日取りに来ることにした。

「カズ!歩きにくいんだから、ちゃんと気をつかって歩くんだよ?」

「わかってるわかってる」

背中越しに返事をしてる和樹の横で、私は振り返ってお辞儀をした。

まだ少し明るい駅までの道。
ぺたぺたと慣れない下駄で歩く私のために、和樹はいつもよりゆっくりと歩いてくれていた。


凛&ヒロと待ち合わせたのは、会場の最寄りの駅。

「奏ー!かわいいーー!!」
「凛!すごく大人っぽい!」

二人できゃっきゃと騒いでる横で、ヒロがふざけて私たちの真似をした。

「和樹ー!かっこいいー!」

私の前ではいつも口数の少ない和樹が、一体どう答えるのか気になって見ていたら…

「ヒロー、すごく猿っぽいー!」

ふざける和樹を初めて見て、私たちは爆笑してしまった。




あちこちの出店で食べ物を買いながら会場に向かう。
少し早めに来たのもあって、草の上に座って見られるエリアに場所をとることができた。
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