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Gemini
第4章 フラッシュバック
全身が映る鏡で自分の体を見てみる。
本当に、私…

胸はそれなりにある方だと思うけど、くびれは微妙。二人はガッカリしたりしないかな…

ん…二人?何が?!

「あああああぁー」

顔を覆って鏡の前からどいて、ついでにそのままシャワーを浴びに行った。

「いやいやいや、ないない…ないでしょ…」
独り言を叫びながらシャワーを浴びて、リセットする。

頭にタオルを巻いて、Tシャツと短パンを着る。冷蔵庫からお茶を出そうとしたところにインターフォンが鳴った。

そこに映っていたのは、あの美しい顔だった。
(どっち?!!)

一瞬焦ったものの、画面越しでもすぐ分かった。目力強めの笑み。
「ルカ…?」

[ カナデ、平気? ]

「どうしたの?」

[ コンビニ行くって誤魔化して出てきた ]

(心配して来てくれたの…?)


[ とりあえず、顔だけでも見せて ]

ドアのロックを外した瞬間、玄関にかけてある姿見に自分の酷い格好が映った。

「ごめんルカ。ちょっ…」
言い終わるのを待たずに、スッと玄関に入って来てしまった。ルカは私を見ると、いつもみたいにイタズラっぽく笑って言った。
「Tu es superbe…」
「えっ?何?」
「かわいいなって」

ルカの手が私の頭のタオルを外し、濡れた髪がおりた。
「乾かしてあげる」

断ったのに「いいからいいから」と押し切られ、洗面台の前まで来てしまった。ニコニコとまるで鼻歌でも歌っていそうな笑みを浮かべながら、私の髪を乾かすルカ。そんなルカから目が離せない私。

鏡越しに目が合って、心臓を掴まれたような気がした。
「そんなに見つめるなよ」
強気な口調とは裏腹に、優しい笑顔だった。
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