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Gemini
第19章 滲入
時計を見るとまだ6時。

よっぽど睡眠不足だったのか…
体力的に限界だったのか…
とにかく、ぐっっっすりとよく寝た気がした。

隣のベッドではママがまだ眠ってる。



天井を見つめながら、自然と和樹のことを考えてしまう。

凛から荷物のことを聞いた時は、完全にサヨナラ宣言なんだと思ってだいぶ悲しかった。
そもそも私は、なんで和樹のキスを避けたんだっけ…

あぁ…この旅行のこと考えてて、急に和樹が…
で、びっくりして

びっくり?ほんとにそうだった?

目を閉じて自問する。
和樹の顔が近づいてきたときのこと。

指先で唇に触れてみる。

ノアとルカとは散々キスしてるし、和樹とキスだってそんなに大したことじゃ…
嫌いなわけじゃないし、しかもあの時、和樹はきっと…

嫌いなわけじゃない、ってことは好きなの?

好きって…なんなんだろ…

スマホで調べる。〘好き とは〙
[もっと相手に近づきたい]
[会いたくて仕方がない]
[もっと仲良くなりたい]
[相手のことを考えると物事が手につかない]

あれ…?
和樹に対して。私こんな風に思ってるっけ…
物事が手につかないほど思い出しちゃうって、むしろ…


「おはよ、奏」
そのときママが起きた。

「おはよ」
スマホを消して、ママの方に体を向ける。

「沖縄、楽しんでる?」
「うん、もちろん!ママは?」
向かいあって笑う。

「今日は水族館だよね、楽しみー」
「結構距離あるみたいだよ」

「運転はノアルカに任せて、私寝てよーっと」
「道とか大丈夫かなぁ?!」
「椿がナビするって言ってたし、平気でしょ?」


朝食を済ませてレンタカーを受け取りに行く。

少し狭めのサードシートに乗り込むと、ノアが隣に座った。真ん中のシートではママが睡眠体勢、運転はルカ、助手席はつーちゃんだ。
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