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Gemini
第20章 海鳴り
海沿いを走る車の中は、不思議なほど無言だった。

ルカのセレクトしたプレイリストは英語の曲ばかりで、私はところどころ聞こえてくる英文の意味を考えていた。

そうでもしないと、これから起こることへの期待と想像で心臓がどうにかなってしまいそうだったから。


「コンビニ寄るよ」

広い駐車場には2台しか止まっていなかった。

「花火好きだろ?」
私が頷くとルカはカゴに入れた。

「ジュース選んでおいで」
ノアに言われて大きな冷蔵庫の前に立つ。

店員さんにはちゃんと普通の子だと思われてるかな?
まさかこのスカートの下に何も履いてないなんて思ってないよね…

ママたちとなんとかして別行動がしたくて、離れたくて…やっとその望みが叶った今、胸の奥に小さな罪悪感が芽生え始めていた。

「mon bébé 他に欲しいものは?」
腰に手を回されて、チュッと音を立てながら唇が前髪に触れた。

「チョコ食べたい」

「ouais……これ?」
ルカが手に取ったものの隣にあったのに手を伸ばした。
「こっちがいいな」

「そっちか」
ポイッと入れたチョコの他に、飲みものと花火の他に、タオルが何枚かカゴに入っていた。

「タオルそんなにいるの?」

「んー、まー、念の為?」

この後まさか私自身が、そのすべてをびちょびちょにしてしまうとは思っていなかった。
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