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Gemini
第21章 現実
最終日。

ルカとノアとの記憶ばかりが残る沖縄も今日で終わり。夜には家に着いてしまう。


史跡や戦跡を巡るレンタカーの中、ずっと私の隣に座っていたのはママだった。

お昼を食べる時も、お土産屋さんを見て回る時も、普通の家族みたいにふたりとも私につかず離れずで、私はそれを寂しいと感じてしまった。

近くにいないのが寂しい。
隣にくるときに腰に手が回されないのが寂しい。
耳元で囁くように話してくれないのが寂しい。
並んで歩くのに手を繋いでいないのが寂しい。
抱きしめてもらえないのが寂しい。

(もしかして私を全部あげたから、興味がなくなっちゃった?)

そんなはずはないと思いながらも、その距離感が寂しくて悲しくて、笑顔を出すのが大変なくらいだった。



空港について、出発までの時間調整をするためにスタバに入ると、隣にはノアが座って、ルカは一番遠い席に着いた。みんなで旅行の思い出話をしていても、ルカのことばっかり気になってうわの空だった。


「オレ、本屋見てくる」
グラスが空になったルカが席を立ったのを見て、「私も!」と甘いフラペチーノの残りを一気飲みした。

ノアはそんな私を笑いながら見ていたけど、意地悪な目はしていなかった。
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