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Gemini
第21章 現実
ルカを追って店を出る。

「待って、ルカ…」

「どうした?」

「どう…もしないけどさ」

ルカの後について本屋さんに入り、ついてまわる。カメラがいっぱい写った雑誌をめくって吟味し始めたルカの横顔を見る。
「へる」

「へ?え?」

「そんな見られたら減るよ。なに?惚れた?」
久しぶりの意地悪な顔。

「え…えぇっ?」
見透かされたような気になって目を逸らし、慌てて怒って見せた。
「…はぁ?なっ…んで?」

くるっとルカに背を向けて、逃げるように歩き出す。
結局ルカの顔を見ないままさっきのスタバに一人で戻った。

「買わなかったの?」
不思議顔のママ。
「うん、欲しいのがなかったの」

「へぇ」
ノアは訳知り顔で私を見るだけで、何も言わなかった。

かき乱されるみたいに胸がザワザワと落ち着かないまま。私はなんでずっとこんなになってるんだろう。
スマホを弄るノアの隣で私も自分のスマホを取り出した。

真っ黒な画面を見て思い出す。ガイドさんの説明を聞いているときに通知がたくさん届いて気まずかったから、電源を落としたんだった。

起動した途端、たて続けにルカからのLINEが鳴る。
[どこにいる?]
[本屋出た?]

完全に起動し終わってから返信を送るまでにもう一度居場所の確認が届く。
[今どこ]

[ ごめんスタバに戻ったよ ]
一瞬で既読がついた。

和樹からの未読は二桁にもなっていた。
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