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Gemini
第21章 現実
インターフォンが鳴り、ノアを迎え入れる。
まっすぐに私に向けられる視線から、目を逸らしてしまった。

「おいで」
スニーカーを脱いだノアが両手を広げて私を待つ。

小さく一歩踏み出して見上げると、ノアは優しく微笑んでいた。

更にもう一歩近づく…恥ずかしくて、また床に視線を落としてしまう。向かい合ったふたりの足。
ノアから近づいてきてくれないのは、全てを私に委ねてるから?それとも私のせいにするため?


最後にノアに触れたのは、海岸でのあの時だ。少し怖さを感じてたこと、ノアも気づいてるから私に決めさせるのかもしれない。

「カナデ」
優しい声に顔を上げる。

その微笑みに吸い寄せられてもう一歩近づく。

「ぁっ…」
一瞬で腕の中に抱き寄せられてしまった。
ぎゅうっと少し苦しいくらい。

きっと心臓のドキドキはノアまで伝わってるだろう。

「かわいい。シャワー浴びて待ってたの?」

「えっ………うん…」

「いい匂い…もっと嗅がせて」
深呼吸するみたいに首筋に鼻をあてて息を吸うノア。私は反対側に首を傾ける。

そのまま今度は唇も触れて、ちゅっ…ちゅっ…と何度も首を吸われた。まだキスもしてないのに。

「んっ」
耳たぶを噛まれると、足から力が抜けそうになった。

「かわいい」
その囁きで理性が溶かされてしまう。
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