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第21章 現実

［できてるよ、準備］
どうとでもとれる言い方で返した。


［うちにくる？］

つーちゃんのいるところに誘われるってことは、そういうことじゃないってこと。
（はぁ、変な返事をしなくて良かった…）

〘うん！〙という返事を送る正に直前に、もう一つLINEが来た。
［それともそっちに行こうか？］

（えっ？！）思うのとほぼ同じタイミングで、指が送信マークに触れてしまった。
「ちょっ、待っ」

［うん！］
ノアのメッセージにめちゃくちゃ乗り気…みたいな返事になってる。

慌てて長押ししてみたけど、送信削除する間もなく既読がついた。

［待ってて］
数秒で届いたその返信に心臓が掴まれる。

ドッドッドッと大きな音をたててる心臓を落ち着かせるために、ゆっくりと息を吐く。

目を閉じてもう一度、ゆっくり細く息を吐く。
暴れてた鼓動が大人しくなってきたことで、胸がフワフワしてることに気づいた。
ノアの意地悪な眼差しが、じっと私を観察しているのを想像すると、遠くでチャペルの鐘が鳴ったみたいに体の中心からじんわりと熱が広がっていく感じがした。


「ルカ…ごめんね」

沖縄で撮ったスマホの画像を繰りながら、自然と口から零れたのは、ルカへの気持ちだった。