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Gemini
第5章 勇気
学校のある駅に着くと中学からの友達の凛に会った。いつもに増して眠そうな顔してる。
「そんなにテスト勉強やってるの?焦るー」

「違うよ、ほぼゼロ。ヒロがしつこくてさ…」
ヒロトくんは、付き合って一年くらいになる凛の彼氏で、凛の地元にある別の学校に通ってる。

「そ…そうなんだ…」

「もう本当、猿ってああいう事言うんだろうね」

「でもさ、凛だって…気持ちいいんでしょ?」

「まぁ嫌な訳じゃないけど…会う度はなぁ…」

「そうなんだ…」
実は昨日…と喉まで出かけたけど、やめた。どちらかと言うとヒロくんよりな思考の私を、凛がどう思うか心配になったから。

「カナデは?そろそろ彼氏作る気になった?」

「んー…そうだね、まぁ、そろそろね」

「今度ヒロの学校の子たちと遊ぼうよ」

「うん、遊ぶ。」

「おぉー!カナデがやっとその気になった!」
なんだか怖いような気がして、いつも断っていたけれど、今回は一歩踏み出してみようと思ったんだ。

喜んでくれてる凛の首筋に赤いアザのようなあとが2つついていた。


キスマークだ。


前の私なら、なぜそんな見えるところにわざわざ、と思っただろう。でも今なら分かる。

耳から首へと唇や舌が移動していく感触…

更に吸われる感触を想像して重ねると、それはそれは官能的な刺激だろう…



「ーーちゃうなんて、ホント性欲の塊だよね?」

「うん…そだね」

凛の話もうわの空になってしまうほど、また思い出していた。
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