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第5章 勇気

お昼に学食でうどんを食べてるとき、思い切って聞いてみた。

「初めてしたときって、どれくらい痛かった？」
「えぇー、生理痛の７倍くらいかなー」
「７倍…」
（凛は生理痛軽いから…差し引きすると…）

「何？する予定あるってこと？！誰と？！」
バチンとトレーにお箸を置いて、凛が隣の椅子に座り直してきた。

「え…いや…まだ分かんないけど…」
「彼氏できたってこと？！聞いてない！！」
「そういうんじゃなくて…」
「何？ダメだよ！付き合ってない人となんて！」

「違うよ、違うの！ただちょっと聞いてみただけだってば！」
凛のあまりの剣幕に、これ以上聞くことを諦めた。



「今日、一緒に勉強して帰らない？」

放課後、凛を誘ってみたけれど、ヒロくんと約束があると断られてしまった。しょうがないので、地元の駅のファストフードで勉強することにした。

ジュースとポテトを買って、端の席をキープする。耳栓をして、教科書を開いた。ほどよい雑音が集中力を増してくれたようで、気づけば外は暗くなっていた。

片付けをしていると、同世代の男の子たちが近づいてきた。二人とも髪が茶色くて、制服の着方もだらしない。知らんぷりをして荷物をまとめて、お店から出たとき、一人に腕を掴まれてしまった。

「聞いてんのかよ？」
「離してくださいっ」
「とりあえずあっち行こうって」
「やめてくださいっ」

なんとか強い口調で言っているものの、怖くて膝はガクガク震えていた。

「うちの生徒に何か用かな？」
私とその男の子との間に、スーツ姿の男の人が割り入った。その人は私の腕を掴んでいた手を引き剥がすと、スッと私を背中に隠してくれた。

「なんだよ、おっさん関係ねーだろ？」
「関係あるだろう？担任なんだから」
「もういいよ、行こーぜ」

毅然とした態度で接してくれたおかげで、二人ともどこかに行ってしまった。