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Gemini
第5章 勇気
次の日、ノアは約束の時間よりも20分遅れてうちに来た。遅れるなんて初めてのことだった。
「ごめんね、カナデ」
「平気だよ。ノア大丈夫?」
いつも冷静沈着なノアのおでこに汗が滲んでる。
(もしかして走ってきた?)
「冷たいお茶飲む?待ってて」
部屋に戻ってグラスを渡すとき、ノアの腕が怪我してるのに気づいた。一直線に赤い筋のようになっていて、今ひっかけたばかりのような感じだ。
(そんなに急いで来てくれたんだ…もしかして、私に会いたくて?)
勝手な妄想にニヤけそうになりながら、リビングの救急箱に塗り薬を取りに行く。
遠慮しているノアに薬を塗ってあげながらも、その浮き出た血管や筋にうっとりしてしまいそうになる。
(今日はキス…しないのかな?)
ノアを見上げるとノアも私を見ていたみたいで、至近距離で目が合った。
(……あれ?)
ほんの僅かな違和感。
でもそれが何かは分からない。
整った顔を目の前にしてしまうと、拭えない違和感よりも、唇に意識が向いてしまう。
「さぁ、始めようか」
明るい声で言われると、唇に目がいっていた自分が恥ずかしくなる。
「ここやるの?」
昨日貼り付けた付箋を指し示す指先まで美しい。
「お願いします」
案外多くて申し訳ない気持ちになる。
私がどこまで理解出来ていて、どこが分からないのかを紐解きながら寄り添ってくれる教え方は今まで教わった誰よりも分かりやすい。
「ノア、先生になればいいのに」
「え?」
「すごく分かりやすいから」
「カナデが優秀だからだよ」
頭をポンポンされたとき、感じていた違和感の原因がやっと分かった。
ノアからフローラルの香りがするんだ。
甘い香り。まるで女の子のような。
「ごめんね、カナデ」
「平気だよ。ノア大丈夫?」
いつも冷静沈着なノアのおでこに汗が滲んでる。
(もしかして走ってきた?)
「冷たいお茶飲む?待ってて」
部屋に戻ってグラスを渡すとき、ノアの腕が怪我してるのに気づいた。一直線に赤い筋のようになっていて、今ひっかけたばかりのような感じだ。
(そんなに急いで来てくれたんだ…もしかして、私に会いたくて?)
勝手な妄想にニヤけそうになりながら、リビングの救急箱に塗り薬を取りに行く。
遠慮しているノアに薬を塗ってあげながらも、その浮き出た血管や筋にうっとりしてしまいそうになる。
(今日はキス…しないのかな?)
ノアを見上げるとノアも私を見ていたみたいで、至近距離で目が合った。
(……あれ?)
ほんの僅かな違和感。
でもそれが何かは分からない。
整った顔を目の前にしてしまうと、拭えない違和感よりも、唇に意識が向いてしまう。
「さぁ、始めようか」
明るい声で言われると、唇に目がいっていた自分が恥ずかしくなる。
「ここやるの?」
昨日貼り付けた付箋を指し示す指先まで美しい。
「お願いします」
案外多くて申し訳ない気持ちになる。
私がどこまで理解出来ていて、どこが分からないのかを紐解きながら寄り添ってくれる教え方は今まで教わった誰よりも分かりやすい。
「ノア、先生になればいいのに」
「え?」
「すごく分かりやすいから」
「カナデが優秀だからだよ」
頭をポンポンされたとき、感じていた違和感の原因がやっと分かった。
ノアからフローラルの香りがするんだ。
甘い香り。まるで女の子のような。