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Gemini
第23章 バランス
もうすぐ夏休みが終わってしまう。

カウントダウンが始まった私と違って、ノアもルカもまだ余裕だった。バイトが始まってなんとなく会えない日が続いたけど、大学が始まるのはもう少し先らしい。

前はどんな風に会ってたんだっけ…
ノアは勉強があったから定期的だったけど、ルカとは偶然でしか会うことはなかった。

私から連絡したら、流れで「そう」なってしまいそうで、なんとなく躊躇していた。当然それが嫌な訳じゃないけど、そればっかりになっちゃいそうな自分が少し心配だった。


実際、ふたりとの接点が遠退いたこの1週間。
あの狂おしい程の快感がそのまま過去のものになりつつあった。
その平穏を簡単にぶち壊してしまうあの快楽がちょっぴり怖かったんだ。


鏡の中の私は変わってないように見える。


スマホをバッグに入れて家を出た。
凛から荷物を受け取って、お互いのお土産を交換するために。


電車に乗って、凛に指定された降りたことの無い駅の改札を通る。徒歩5分くらいで着いた小さなカフェ。

[着いたー]

[入って右奥にいるよ]

「入って…右奥…?」
凛の姿を見つけて近づいた足が止まる。

金髪になったヒロと髪を巻いた凛が並んで座って手を振ってて、ヒロの前に座ってる背中には見覚えがあった。

「ふたりだと思ってたよぉ…」

なるべく不自然にならないように気をつけながら、空いた席に座った。
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