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Gemini
第25章 バースデー
そのまま何も無くルカは帰ってしまった。

ルカがニコニコと機嫌よく笑ってて、明後日のことを楽しみにしてくれてるってことがよく分かった。
そして私が、自分で想像してたよりもっとずっと、直に触れ合いたいという欲求に満ちていたことも分かった。

ルカとキスした唇に触れてみる。
自分でなぞっても何も感じない。
「はぁ……」

ちょうどため息を吐き切ったとき、インターフォンが鳴った。
画面を見ただけで分かる。ルカが戻ってきた!
(忘れ物?)
何も返事をせずに、玄関に急ぐ。

「どうしたの?!」
開けた瞬間、手が止まった。

「どうもしないよ?ただ会いに来ただけ」
取っ手を掴む私の手にノアの手が重なる。
ぐっとドアを開いて中に入ってきた。

服も髪も違うのに、見間違えてしまった。
さっきまでルカのものだった唇は、一瞬でノア色に塗り替えられた。

グチュグチュとノアの舌が私の口の中を掻き回す。私の舌はノアの唾にまみれるために、そこに存在していた。少しずつ垂れてくるノアの唾液を、口を開けたまま喉で飲み込んでいく。

ルカのキスの感触を思い出さなくなった頃、私の両手はノアの首にまわっていて、体を擦り寄せるように抱きついていた。

制服の上から胸を掴まれると、お腹の奥がキュンとして、思わずノアの手に自分の手を重ねてしまった。
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