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Gemini
第6章 知らなかったこと
玄関を開けると当然のように入ってくるルカ。
「夕飯は?」
「今食べ…」
「終わったとこか」
リビングの状況を見て、理解したみたい。
「そっか、ちょっと遅かったな」
手には食材の入ってそうなビニール袋があることに気づいた。
「あ…ごめん」
「いいよ。でも、とりあえず冷蔵庫入れさせて。で…」
くるっと体の向きを変えて私の方に近づいてくる。
(えっ…ちょっと……そんな急に…)
「まーた、髪乾かしてない!」
首をガシッと掴まれて、洗面台の前まで連れて来られた。
ボワァーッというドライヤーの音と手ぐしを通される感触。この間のこともあって、私は鏡の方を見られずにいた。
「なんでちゃんとできないかなぁ…犬かよ、まじで…せっかくの…」
何かブツクサ言ってるみたいだけど、全部は聞こえない。
「Ça y est!」
「何?」
「カンペキ!」
ドライヤーを片付け終わった手が、私の髪をまた撫でた。
「また髪伸ばせよ、カナデ」
「もっと乾かすの面倒になるじゃん」
「オレが乾かしてやるよ」
「やだよ、毎日ルカ呼ぶなんて」
「嫌とか言うな」
ルカは髪から手を退けて、少し体を離した。
「まだうどん途中だったのか、ごめん」
「あぁ…でももう…」
「オレ貰っていい?」
「え?いいけど、美味しくないかも」
ルカは返事もしないで、床に座って食べ残りのうどんを食べ始めた。
「意外とうまいよ」
「ホントに?!」
「もっと食いたいな」
「ルカ、何か作るつもりだったんでしょ?」
「あぁ、まぁね。でも自分のためにはなぁ…」
「何の予定だったの?」
「パスタ」
「うわぁ、そっちの方が良かったー」
「いつでも作ってやるから」
「夕飯は?」
「今食べ…」
「終わったとこか」
リビングの状況を見て、理解したみたい。
「そっか、ちょっと遅かったな」
手には食材の入ってそうなビニール袋があることに気づいた。
「あ…ごめん」
「いいよ。でも、とりあえず冷蔵庫入れさせて。で…」
くるっと体の向きを変えて私の方に近づいてくる。
(えっ…ちょっと……そんな急に…)
「まーた、髪乾かしてない!」
首をガシッと掴まれて、洗面台の前まで連れて来られた。
ボワァーッというドライヤーの音と手ぐしを通される感触。この間のこともあって、私は鏡の方を見られずにいた。
「なんでちゃんとできないかなぁ…犬かよ、まじで…せっかくの…」
何かブツクサ言ってるみたいだけど、全部は聞こえない。
「Ça y est!」
「何?」
「カンペキ!」
ドライヤーを片付け終わった手が、私の髪をまた撫でた。
「また髪伸ばせよ、カナデ」
「もっと乾かすの面倒になるじゃん」
「オレが乾かしてやるよ」
「やだよ、毎日ルカ呼ぶなんて」
「嫌とか言うな」
ルカは髪から手を退けて、少し体を離した。
「まだうどん途中だったのか、ごめん」
「あぁ…でももう…」
「オレ貰っていい?」
「え?いいけど、美味しくないかも」
ルカは返事もしないで、床に座って食べ残りのうどんを食べ始めた。
「意外とうまいよ」
「ホントに?!」
「もっと食いたいな」
「ルカ、何か作るつもりだったんでしょ?」
「あぁ、まぁね。でも自分のためにはなぁ…」
「何の予定だったの?」
「パスタ」
「うわぁ、そっちの方が良かったー」
「いつでも作ってやるから」