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Gemini
第6章 知らなかったこと
ルカの瞳以外は目に入らなかった。

「ルカ…ルカぁまたっ…………ルっ…っっ」

ルカに握られていた手首も、腰も、太ももも、つま先も、全てがビクビクビクッと震えた。

「はぁ……はぁ……んっはぁっ……」
波が寄せるように気持ちいい痺れが巡り、呼吸は不規則のまま。ルカはそんな私を抱き寄せて、顔中にキスをした。
「mon ange…Je t’aime」

瞼にキスを受けて目を閉じると、その拍子に溜まっていた涙が零れてしまった。
「ぁ…これ…違うからね…あのっ」
ルカの唇が私の口を塞いだ。まるで今日初めてみたいな控えめで優しいキス。

「気持ち…よかったの…」
唇が離れてから、ちゃんと言葉で伝えた。ルカは私をすっぽり抱え込むみたいに抱きしめて、また何か言った。
「……Je suis fou de toi.」

「なんて言ったの?」

「え?なにが?」
完全に誤魔化してる。

「そう言えばさっき、ジュテームって言った?」
「…なっ…は?言ってないよ」
「なんだっけ、意味?よく聞くよね?あれー?」


気づけばノアの気配はもうなかった。

(ルカがいること、バレちゃったかな…)
もう一度シャワーを浴びながら、ノアのことを思い出していた。


結局ルカはベッドに入る直前まで私と過ごした。それこそ、ラブラブな恋人同士みたいな距離感で。いつもはふざけてからかったりしてばっかりのルカだけど、彼女にはいちゃいちゃするタイプなのかもしれない。


ノアのことについて一切話さないまま、ルカは家に帰った。「またな」と言って。

「うん、また…」
私もそう答えて、鍵を閉めた。


ルカとしたことが、いわゆるセックスじゃないことは知っていた。
でもルカがあれ以上のことをしなかった理由は知らなかった。
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