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Gemini
第7章 痕跡
朝、制服に着替えたとき、昨日の夜の出来事をハッキリと思い出させるルカのキスマークがいくつも目に入った。

恥ずかしくてのたうち回りたくなるほどだったけど、なんとか堪える。それと同じくらい、甘々ムードのルカを思い出していてニヤけてしまうのも我慢していた。


「かなでーーっ」
教室に入ると凛が飛んできた。
「昨日、ほんっっっと、ごめん💦」
凛の眉毛はこれ以上ないくらい下がってる。

「あ……あぁ、全然。大丈夫。」
一瞬、なんのことだか忘れてた。

「和樹どうだった?奏も気に入った?」
「気に入ったって、服じゃないんだから…」

(ん?「も」?)

「和樹、奏のことめっちゃタイプだって」
「うそっ」
「もぉ凄かったんだから。奏が帰ったあと!」
「凄かったって…和樹が?」
「もー、デレデレのニヤニヤ」

「うそだぁ」
「奏のことばっか話してさ。私、質問攻めだったんだよ。」
「和樹が?!」

「嬉しい?」
凛はニヤニヤしながら、私のほっぺを両手でつまんでくる。
「…ふえひい…」
「次、いつ会うの?」
「ふぁはんないぉ…」
「何?」

「分かんないー!」
やっと解放された口でしゃべる。
「……いつ…とかは約束してないんだもん…」

私のほっぺをプニプニしながら、凛が力強く言い放った。
「帰り、和樹に電話するよ!あたしのスマホ使っていいから!」
「そんなの…悪いよ」
「いいからいいから」


昨日のルカとのことがあったとは言え、和樹のことがすっぽり頭から抜けてたことに驚いた。

(和樹がデレデレのニヤニヤ?!)
授業中、想像して私までニヤニヤしてしまった。


でも、トイレに行った時には、強制的にルカの方に意識がいってしまうのだった。
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