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第8章 週末

土曜日はママと買い物にでかけた。

「明日ちょっと出かけるから」
「凛ちゃん？」
「えっ…と、ううん、違う…」
「誰とー？どこにー？」
「違うってば！そういうんじゃなくて」
ママは勝手に早とちりしてる。

「で、何着ていくか決めてるの？」
「こないだ買ってもらった黒の」
「えー？あれパンツじゃなかった？」
「そうだけど…」
「ないないないない。」
（凛はそれでいいって言ってたのに…）

結局、ママのイチオシの水色の細かいプリーツスカートと白のシャツブラウスを買ってもらった。

「彼の背は？高いの？」
それによってサンダルのヒールの高さが変わってくる、って、ママは靴屋さんでもノリノリだ。
「高い…かな」

靴のあとはスマホも買ってもらった。

「やっと奏が目覚めてくれて、安心だよー」
「目覚めてって」
「彼氏もできないまま中学卒業って、心配しかないでしょうよ！」
「って、彼氏って訳じゃないから！」
「はいはい。候補ね、候補。」

そのまま久しぶりにママと外食した。
「奏のこと、大切にしてくれる人を選ぶんだよ」

「だーかーら、そういうんじゃないってば」
「そういうんでもなくても。分かった？」
「はいはい。」
ママの言いたいこと、分かってるよ。

絶対にママには言えないけど、ノアとルカも私を大切にしてくれてるの。大切にされてるって感じる。

これからもっといけないことしちゃうかもしれないけど、でもいいかげんな扱われ方をされてる訳じゃないから…

ママ、許してね。